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ニュースリリース

2015/3/25

 トーヨーエイテック、東日本工場に新型PVD炉を設置
-国内全ての表面処理工場で、低温TiCの本格的なサービスを展開-

 トーヨーエイテック株式会社(本社:広島市南区、社長:本郷義昭)は、昨年3月に開発し本社工場へ導入した新型のPVD(物理的蒸着法)炉と同型の炉を、東日本工場(埼玉県深谷市)にも設置。本日より本格的に稼動を開始しました。これにより、同社独自の商品であり戦略商品でもある「低温TiC」のサービスが、中部日本工場(愛知県春日井市)と本社工場に加え東日本工場でも可能となり、今後、3拠点を通じてサービスの拡大を図ります。

 東日本工場に導入した炉は、大型のアーク式イオンプレーティングのPVD炉TF-778N型で、最大処理寸法φ700mm(直径)×700mm(高さ)、最大処理重量300kgの能力を有しています。成膜へ影響力を及ぼす磁場のシミュレーションや品質工学を活用し、高速で緻密なコーティング膜を生成できる制御を採用しており、より高品質・高性能な膜の生成が可能です。膜の結晶構造が最適化されることにより、高硬度と高靭性を両立させるだけでなく、成膜時のドロップレット(※)が飛躍的に減少することで、優れた摺動性を実現しています。

 トーヨ-エイテックは、市場が拡大しているPVDコーティングの戦略商品として低温TiCを開発し、2007年4月より本格的に発売(受託加工)を開始しました。低温TiCはプレス加工用金型に最適なコーティングで、CVD(化学的蒸着法)で定評のある「TiC」を低温で成膜するものです。コーティング後の金型の寸法・形状精度が高く、耐摩耗性・滑り性にも優れるという特長を有しており、その優れた性能が市場で高く評価され、着実に需要が伸びています。従来、低温TiCの処理は中部日本工場が中心で、中部日本工場の遠隔地からでは金型の輸送(往復)に時間がかかるため、低温TiC処理の要望があっても、納期の折り合いがつかないケースが多々発生していました。その打開策と処理能力拡大策の第一弾として昨年3月に、自動車産業が集積している九州にも近い本社工場へTF-778N型を導入し、サービスの拡大を図ってきました。

 今回は自動車産業の集積が進んでいる東北にも近い東日本工場に設置することで、関東以北へも低温TiCの拡販が可能になります。トーヨーエイテックの表面処理事業は本社工場、中部日本工場、東日本工場の3工場があり、全工場で低温TiCのサービスが実現したことで、低温TiC処理能力が大幅に拡大します。これにより、売上拡大に加えて、お客様に近い工場でコーティング処理できることや、特定の工場に処理が集中した場合でも他工場へ振り分けて処理することにより、納期面でのサービスの充実にもつながります。今後は低温TiCの拡販に加え新膜の開発にも取り組み、表面処理事業をさらに成長させる予定です。

(※)ドロップレット
被膜原料であるターゲットにアーク放電する際、局所的にターゲットが液状化し、それが固体化しながら飛散することで、コーティングされる加工物に付着する現象。